過去に金融事故を起こしていわゆるブラックリスト状態になってしまったら、クレジットカードを発行するのが難しくなります。そうはいっても高額な買い物をするときには後払いや分割払いを利用したい方が多いでしょう。
ショッピングローンを利用できれば、クレジットカードを持っていなくても買い物代金を分割で支払える可能性があります。
今回は信用情報に事故情報が登録されて金融ブラック状態になってしまっても「ショッピングローン」を利用できるのか、ショッピングローンの基本的な仕組みや審査方法と合わせて解説します。
ブラックリスト状態になってお困りの方や買い物代金を分割払いしたい方はぜひ参考にしてみてください。
1.ショッピングローンとは
ショッピングローンとは、買い物代金を分割で支払えるサービスです。
高額な買い物をするときには、一括払いが難しい方も多いでしょう。そこで信販会社に代金を一括で立て替えてもらい、利用者は後に信販会社へと分割で立替金を返済していきます。
返済の際には信販会社所定の「手数料」が上乗せされます。
ショッピングローンを利用すると、手元にまとまった現金がなくても高額な家電やブランド物、アクセサリーや絵画などを購入できるメリットがあるといえるでしょう。
店舗のレジなどにショッピングローンの案内文が置かれているケースもありますし、家電量販店などで商品を購入すると、店員から「ローンを利用されますか?」と案内してもらえることもあります。
またショッピングローンはクレジットカードとは異なるサービスです。カードを持っていない人でも利用できる可能性があります。
1-1.ショッピングローンの仕組み
なぜ商品を購入するときにクレジットカードを持っていなくてもショッピングローンを利用できるのでしょうか?
ショッピングローンの「仕組み」をみてみましょう。
まず家電量販店などの店舗が、ショッピングローンサービスを提供している「信販会社」と加盟店契約をします。
そしてお客さんがその店舗で買い物をするときにショッピングローンを希望すると、店舗を通じて信販会社へ審査を申し込みます。
信販会社が審査を通せば、信販会社はお店に商品の代金を一括払いします。
その後、お客さんは信販会社に対し、手数料を上乗せして買い物代金を払っていく、という仕組みです。
1-2.ショッピングローンは3者がメリットを得られる仕組み
ショッピングローンを利用すると、信販会社はお客さんから手数料を払ってもらうことによって利益を得られます。
加盟店はローンサービスを通じて、分割払いを利用したい顧客を呼び込むことができます。
お客さんにとっては一括で払えない商品を分割払いで購入できるメリットがあります。
このように、ショッピングローンは信販会社、加盟店、お客さんの3者全員にメリットをもたらす仕組みともいえるでしょう。
1-3.ショッピングローンの支払い方法
ショッピングローンを利用すると、商品の代金を「後払い」できます。その場で支払わなくてよいので、一括払いする現金がない場合には便利なサービスといえるでしょう。
支払回数は1回から60回程度までの範囲内で選べますが、一般的には分割払いを選択する方が多数です。
立替金の返済方法は、銀行などの金融機関口座からの引き落としになります。
口座登録ができていない場合や未入金で引き落としができなかった場合には、後日信販会社から連絡が来て振込用紙が送られ、コンビニなどで支払う必要があります。
なおショッピングローンを利用して分割払いを選択した場合、基本的に「繰り上げ返済」はできません。当初の予定通りに分割で払っていく必要があるので注意しましょう。
1-4.ショッピングローンの手数料
ショッピングローンを利用すると、信販会社所定の手数料がかかります。
手数料は借金の利息のようなものであり、分割払いの際に上乗せして払わねばなりません。
実質年率はローン会社にもよりますが、8~15%程度が相場となっています。
一般的なキャッシングやカードローンの利率とほぼ同じであり、決して安くはありません。
2.ショッピングローンを使えるお店や信販会社の種類
ショッピングローンはどういった店舗で利用できるのでしょうか?
2-1.ショッピングローンを使えるお店一覧
実際の店舗だけではなくネット通販でも利用できるお店が増えています。
ただしお店が信販会社と契約していなければならないので、すべての店舗で利用できるわけではありません。
比較的高額な商品を取り扱う店舗や大手のお店で取り扱っているケースが多いと考えましょう。
たとえば以下のようなお店やサイトで物を購入するときに利用できる可能性があります。
- 大手家電量販店
- 電化製品総合通販サイト
- ファッション関係通販
- ブランド品
- 腕時計やバッグ、アクセサリー
- 宝飾品
- テレビショッピング
- 家具類
- 美顔器や脱毛器
- 自転車
ショッピングローンを利用できるかどうかは、買い物の際に店舗の従業員に確認してみてください。
ネット通販の場合にはサイトに案内が表示されているはずなので、注意深く確認して利用できるようなら手順に従って申し込んでみましょう。
2-2.ショッピングローンを取り扱っている信販会社とは?
ショッピングローンは、信販会社に買い物代金を立て替えてもらうサービスです。
どういった信販会社がショッピングローンのサービスを運営しているのでしょうか?
- オリエントコーポレーション
- ジャックス
- セディナ
- アプラス
例を挙げると上記のような会社のショッピングローンが有名ですが、他にもさまざまな信販会社がショッピングローンを運営しています。
3.ショッピングローンとクレジットカードの違い
ショッピングローンはクレジットカードを持っていなくても利用できますが、両者は似ているので混同されるケースも少なくありません。
ショッピングローンとクレジットカードの分割払いは何が違うのか、みていきましょう。
3-1.支払える代金の範囲
ショッピングローンの場合、支払えるのは「その1回の買い物代金」のみです。
たとえばヤマダ電機でパソコンを買うときにショッピングローンを利用したら、分割払いにできるのはヤマダ電機のパソコン代だけです。
これに対しクレジットカードの場合、多数回の買い物料金の支払いに利用できます。ヤマダ電機のパソコン代だけではなくコンビニやスーパーでの支払い、外食代金など限度額の範囲内であれば何回でも利用できる違いがあります。
3-2.取り扱い店舗数
ショッピングローンを取り扱っている店舗はクレジットカードを取り扱っている店舗より少数です。クレジットカードがあれば分割払いできるお店でも、ショッピングローンは利用できないケースが多々あります。
クレジットカードを持っている方が、さまざまな場面で分割払いを選択できる点でも違いがあります。
3-3.審査基準
ショッピングローンのように、個別の買い物ごとに審査が行われて分割払いを利用できるサービスを「個別クレジット」といいます。
一方でクレジットカードのように限度額の範囲でいくらでも買い物や借り入れができるサービスを「包括クレジット」といいます。
個別クレジットの審査方法は包括クレジットと異なり、個別クレジットの方がゆるくなる可能性があります。
たとえばショッピングローンの場合、10万円以下などの少額の買い物であれば、審査が行われない可能性もあります。
クレジットカードよりもショッピングローンの方が利用しやすいケースがあるといえるでしょう。
3-4.キャッシング機能の有無
一般的なクレジットカードには「キャッシング機能」がついています。
キャッシング機能とは、クレジットカード会社から「借金」をする機能です。買い物をしなくても、キャッシングを利用すればATMなどから直接お金を引き出して借金を利用できます。ただしキャッシングすると高額な利息が発生するので、使いすぎないよう注意しなければなりません。
ショッピングローンはショッピング専門のローンなので、キャッシングはできません。
3-5.カードがなくても利用できる
クレジットカードは、当然クレジットカードを所持していないと利用できません。
ショッピングローンはクレジットカードを持っていなくても審査を通過すれば利用できる違いがあります。
4.ショッピングローンのメリット
次にショッピングローンのメリットをみてみましょう。
4-1.総量規制の対象外
ショッピングローンは「借金の総量規制」の対象外です。
借金の総量規制とは、年収の3分の1以上の借金ができないとするルールをいいます。
ショッピングローンはその規制を受けないので、すでに消費者金融などで借金をしている方でも審査に通過できる可能性があり、メリットとなるでしょう。
4-2.使いすぎを防げる
ショッピングローンはクレジットカードと違い、「1回の買い物」だけに利用できるサービスです。クレジットカードの場合、限度額まではいくらでも利用できるので、ついつい使いすぎてしまう方もおられるでしょう。
ショッピングローンは個別の買い物にしか適用できないので、使いすぎの危険が低下するメリットがあります。
4-3.審査が早い
ショッピングローンにも審査がありますが、審査にかかる期間は非常に短くなっています。
多くの場合には数分~1時間程度で結果が出るので、その場でスピーディに利用できるメリットがあります。
4-4.分割払いできる
パソコンや冷蔵庫、高級家具やブランド物など、どうしてもほしいけれど一括で購入できる資金がない方も多いでしょう。
そんなとき、ショッピングローンを利用すると無理なく支払いができてほしいものをすぐに手に入れられるメリットがあります。
5.ショッピングローンのデメリット
ショッピングローンにはデメリットもあるので注意しましょう。
5-1.手数料がかかる
ショッピングローンを利用すると、支払期間中手数料が発生し続けます。
実質年率は8~15%程度と高額であり、返済期間が長期化すると支払総額が相当高くなってしまうでしょう。
無計画にショッピングローンを利用していると、ローンの返済に追われる生活になってしまうリスクがあります。
特に他にカードローンやキャッシングなどを利用している方は、ショッピングローンも重ねることによって支払い不能の状態に陥ってしまう可能性があるので注意してください。
5-2.利用できるケースが限定される
ショッピングローンはどこでも利用できるわけではありません。
そもそも家電量販店などの一部の店舗に限定されますし、取り扱いのある店舗でも「30000円以上の買い物」など、利用代金による限定がつけられるケースも多々あります。
クレジットカードと違い、どこでも少額の支払いでも利用できるとは限らないので注意しましょう。
5-3.審査がある
ショッピングローンは、誰でも利用できるわけではありません。審査が行われるので、基準を満たさなければ利用を断られる可能性があります。ローンを利用できなければ、商品代金は一括払いしなければなりません。
ただし10万円以下など少額の買い物の場合には審査が行われない可能性もあります。その場合にはブラックリスト状態の方など信用力に欠ける人でも利用しやすいでしょう。
6.ショッピングローンの審査基準
ショッピングローンの審査基準はどのようなものとなっているのでしょうか?
6-1.20歳以上で大学生も利用できる
ショッピングローンは、基本的に未成年の利用は認められません。
20歳以上であれば大学生でも利用できる可能性があります。
6-2.審査項目
審査項目は以下のようなものとなっています。
- 収入や職種、勤務先
現在の収入、職種、勤務先を確認して支払い能力を調査します。
- 他社借入額
すでに他社から多額の借り入れをしていると、審査に通過しにくくなります。
ただし総量規制の対象外なので、年収の3分の1の借り入れがあっても必ずしも審査に落ちるとは限りません。
- 事故情報の有無や内容
信用情報に借金の延滞情報や過去の債務整理情報などが登録されていると、審査に落とされる可能性が高くなります。
7.ブラックリストとショッピングローン
過去に借金を長期延滞したり債務整理したりして信用情報に事故情報が登録されていると、ショッピングローンを利用できないのでしょうか?
7-1.商品代金が低い場合には利用できる可能性がある
商品の分割払いを利用するときには、信販会社による審査が行われるのが原則です。ただし10万円以下などの低額の買い物の場合、審査が行われないケースもあります。
その場合、事故情報を参照されないのでショッピングローンを利用できる可能性があるといえるでしょう。
一方、10万円を超えるローンや過去に延滞した経歴がある方等の場合、ショッピングローン審査に落とされるリスクが高まると考えましょう。ただし過去の金融事故から一定期間が経過している場合や事故情報を消去できる場合などには審査に通過して、ショッピングローンを利用できる可能性があります。
7-2.事故情報が登録されているかどうかでショッピングローンの利用可否が決まる
ショッピングローンの提供者である信販会社は、一般的に「CIC」という信用情報機関の信用情報を参照します。
信用情報に過去や現在における借金延滞情報や債務整理情報が登録されていたら、審査に通るのは極めて困難となるでしょう。特に現在延滞中の場合には、ほとんど審査に通過する見込みがないと考える必要があります。
一方で、過去に借金延滞や債務整理をしていても、一定期間が経過したら自然に事故情報を消してもらえます。延滞状態を解消してから5年程度が経過すると情報が抹消されますし、債務整理情報も約5年で消えるケースが多数です。
また借金が時効にかかったケースや借り入れ時期がさらに古い場合などには、申請によって事故情報を抹消できる可能性もあります。そういったケースでは、先に事故情報を抹消しておくことによってショッピングローンを利用しやすくなるでしょう。
8.信用情報を訂正する方法
信用情報に間違って事故情報が登録されている場合、請求によって情報を抹消してもらえる可能性があります。
手順としては、間違った情報が登録されるもととなった貸金業者へ連絡をして、情報訂正に申し入れを行います。当該貸金業者が対応しない場合、信用情報機関から調査してもらうなどの手続きが必要になるケースもあります。
信用情報の訂正には専門的な対応を要するので、ご自身で適切に請求するのは難しくなりがちです。
当事務所では弁護士が信用情報の削除や訂正に専門的に対応しています。
ショッピングローンやクレジットの審査に落とされてしまい納得できない方や過去の経緯から「信用情報を訂正できるのでは?」と考える方がおられましたら、お気軽にご相談ください。