携帯電話料金滞納による信用情報への影響は?

携帯電話やスマホの料金を長期にわたって滞納すると、信用情報に事故情報が登録されてローンやクレジットを利用できなくなる可能性があります。

ただし「端末代の分割払い」を利用していなければ、通信料金のみ滞納しても信用情報に影響しません。その場合でも、電話の通信利用を停止される可能性はあるので注意が必要です。

今回は携帯電話やスマホの料金滞納と信用情報の関係について解説します。

電話代を払えずお困りの方はぜひ、参考にしてみてください。

1.携帯電話やスマホ料金と信用情報の関係

一般的なクレジットカードやローンの返済を2~3ヶ月程度滞納すると、信用情報に事故情報が登録されてしまいます。するとローンやカードの審査の際に信用情報を確認されてしまうので、審査に通らない状態になります。

こういった状態を「ブラックリスト」といい、ブラックリスト状態になったらクレジットカードや住宅ローン、車のローンや事業用ローンなど一切利用できません。

では携帯電話やスマホ料金を滞納した場合でも同じように信用情報に事故情報が登録されてしまうのでしょうか?

実はこの点については「携帯電話やスマホ端末代の分割払い」をしているかどうかで結論が変わってきます。

以下では「携帯電話やスマホ端末代」を分割払いしている場合と分割払いしていない場合に分けて、料金滞納と信用情報の関係についてみていきましょう。

2.携帯電話やスマホの端末代を分割払いしている場合

携帯電話やスマホの端末代を分割払いにしている状態で料金を滞納すると、「携帯電話の通信料」と「端末代の分割払い代金」の両方を遅延してしまうことになります。

そして端末代の分割払いを滞納すると、信用情報に事故情報が登録されてしまう可能性があります。

2-1.なぜ端末代の分割払いをしていると事故情報が登録されるの?

端末代を分割払いしているときに滞納すると、なぜ信用情報に影響するのでしょうか?

それは、端末代を分割する際には信販会社を利用するからです。

各信販会社は信用情報機関に加盟しており、利用者が長期滞納すると加盟している信用情報機関へ滞納情報を通知します。すると、本人の信用情報に事故情報が登録されてしまいます。

よって端末代を分割払いしている状態で一定以上の期間、携帯電話代を払わなかったら、信用情報に事故情報が登録されてしまうのです。携帯電話代を滞納するだけで、携帯とは無関係な一般のクレジットカードやローンまで利用できなくなってしまうので、くれぐれも注意しましょう。

2-2.どのくらい滞納すると信用情報に登録される?

スマホや携帯電話の端末代を滞納しても、すぐに信用情報に事故情報が登録されるわけではありません。通常は2ヶ月程度滞納を続けた時点で事故情報が登録されます。

スマホ代金を滞納して携帯電話の通信を止められてもすぐに滞納料金を払えばブラックリスト状態は避けられます。

万一遅延してしまったときには、できるだけ早めに支払ってしまいましょう。

2-3.いったん事故情報が登録されたら料金を払ってもブラックリストを解消できない!

携帯電話やスマホの端末代不払いによって事故情報が登録されてしまった場合、延滞分を払えば事故情報を消してもらえるのでしょうか?

実はそういうわけにはいきません。

いったん信用情報に事故情報が登録されると、滞納分を支払っても「5年程度」は事故情報が残ってしまいます。

つまりスマホや携帯の端末代を長期滞納すると、その他のクレジットカードやローンまで5年程度は利用できないリスクが発生します。

料金を払っても不便なブラックリスト状態を解消できないので、くれぐれも長期延滞はしないでください。

3.携帯電話やスマホの端末代を分割払いにしていない場合

携帯電話やスマホの端末代を分割払いしていない状態で料金を滞納したら、どうなるのでしょうか?「携帯電話の通信料のみ」を延滞してしまうケースです。

この場合には、信用情報には何の影響もありません携帯電話の通信料支払いは信販会社を通じた取引ではないからです。通信料そのものを延滞しても、携帯会社から信用情報機関へ通知されることはありません。

ただし携帯電話やスマホの通信料を滞納すると、電話通信自体を止められてしまうので、Wi-Fiを利用した通信しかできなくなってしまいます。

さらに放置し続けると強制解約されるリスクもあるので、早めに延滞状態を解消しましょう。

3-1.延滞から利用停止までの期間

携帯電話やスマホの料金を延滞してから実際に利用停止になるまで、どのくらいの期間の余裕があるのでしょうか?

これについては携帯電話会社によって異なるので、一律ではありません。

大手キャリア3社の通常の取扱いの目安は、以下のとおりです。

  • ドコモの場合には1ヶ月程度
  • auの場合には15日程度
  • ソフトバンクの場合には2週間程度

利用停止を避けたければ、上記期間内に早めに滞納料金を支払いましょう。

3-2.携帯電話の通信を復活させる方法は?

いったん携帯代やスマホ代を滞納して通信を止められてしまった場合、復活させるにはどうすればよいのでしょうか?

実は通信料に関しては、滞納状態を解消さえすれば通信を復活させてもらえます。

信用情報に事故情報が残っていても、通信料の延滞さえなければ問題ありません。新規の携帯電話通信契約を締結できます。

3-3.他の携帯会社なら申し込めるのか?

携帯電話やスマホの料金を滞納し続けると、通信契約を強制解約されてしまいます。

その場合、滞納状態を解消しなくても、他の携帯電話会社であれば新規で申し込んで契約してもらえるのでしょうか?

実はこの方法は通らない可能性が高いので、注意が必要です。

携帯電話会社各社は「TCA(一般社団法人 電気通信事業者協会)」という団体に加盟しています。TCAは、携帯電話会社やインターネット通信会社などが組織している団体で、TCAでは、携帯電話代や通信料金の滞納情報を各社で共有しています。

ある携帯会社で通信料を延滞すると、TCAに通知されて加盟しているすべての携帯電話会社に知られてしまう可能性が高くなります。

そうなると他の携帯電話会社に申込みをしても、通信契約を締結してもらいにくくなるでしょう。

このように、携帯電話の通信料を滞納して通信契約を締結できなくなった状態をわかりやすく「携帯ブラック」ということもあります。

携帯ブラックは「携帯電話に関するブラック状態」であり、信用情報に事故情報が登録された「一般のブラックリスト状態」とは異なるので、分けて理解しましょう。

3-4.携帯ブラック状態の解消方法

いったん携帯ブラック状態になると、基本的にどこの通信会社へ申し込んでもスマホの利用契約ができません。

このような不便な状態を解消するにはどうすればよいのでしょうか?

そのためには滞納料金を支払って、延滞状態を解消する必要があります。

携帯ブラック状態は滞納料金さえ支払えば解除され、一般の信用情報の事故情報と違い5年程度情報が残ることもありません。

滞納料金さえ支払えばまたすぐに携帯会社と通信契約ができるので、延滞して強制解約されてしまったら、できるだけ早めに支払をしましょう。

自己破産する方法も

携帯電話の未払い分以外にも借金がある方の場合などには、自己破産をして携帯電話の未払い債務を免責してもらう方法も有効です。この場合、法律的に未払い料金を払わなくてよい状態になるので、携帯ブラック状態も解消してもらえます。

つまり携帯電話の通信料を滞納して携帯電話を使えなくなっても、自己破産をすれば延滞分を支払わずに新たに契約をしてスマホを使えるようになる、ということです。

今後高額な借金やスマホ代を払える見込みがないなら、早めに自己破産するのがよいでしょう。

3-5.携帯ブラックでも利用できるスマホ

なお携帯ブラック状態でもプリペイドスマホなら利用できます。プリペイドスマホとは、料金を含めた利用料を全額前払いするスマホ。通信会社にリスクが発生しないため、携帯ブラックであっても契約できます。

どうしても携帯電話の未納を解消できず、すぐにでもスマホが必要な場合には利用を検討してみるとよいでしょう。

4.信用情報に事故情報が登録されている状態で新規契約する場合の注意点

信用情報に事故情報が登録されていても、携帯電話やスマホの料金に未納がなければ携帯電話の新規契約は可能です。

ただしこの場合、スマホや携帯電話端末の「分割払い」は利用できません。分割払いの申請をすると個人信用情報を参照されてしまうからです。

スマホ端末は数万~10万円以上もする高額なものが多数ですが、通信契約するには高額な端末を自分で用意するか一括払いしなければなりません。

  • 以前に使っていた端末を利用する
  • 中古端末を購入する
  • 安い端末を一括で購入する

このような方法で手元に端末を用意してから、新たに携帯電話やスマホの通信系約を申し込んでみてください。

5.携帯電話、スマホ代金を滞納した場合の流れ

携帯電話やスマホ代金を滞納すると、どのような流れで利用停止や強制解約の手続きが進んでいくのかみておきましょう。

5-1.携帯電話会社から連絡が来る

携帯電話の通信料や分割払いの支払をしなかったら、まずは契約している携帯電話会社から料金未納の連絡が来ます郵便などが送られてきて早期に払うよう督促されるでしょう。

このタイミングで支払いをすれば、多少の延滞料金はかかる可能性がありますが、それ以外にほとんど何の不利益もありません。

5-2.延滞料金が発生する

携帯電話料金を滞納すると、延滞日数分の「延滞料金(遅延損害金)」が発生します。

大手キャリア3社(ドコモ、au、ソフトバンク)の場合、延滞料金の割合は年率14.5%程度。また端末代を分割払いしている場合には、残高に対して年率6%の延滞利息も別途かかってしまいます。

滞納期間が長くなると延滞金がかさんでいくので、一日も早く支払をしましょう。

5-3.利用停止になる

携帯電話料金を一定期間支払わずに放置すると、利用停止にされてしまいます。

利用停止になると、以下のようなことができなくなるので注意しましょう。

  • 電話での通話
  • Wi-Fiのない場所での通信
  • SMSの利用
  • キャリアメールの利用

ただしWi-Fiを利用できる環境であればSNSやアプリ、ネットなどの利用は可能です。

5-4.強制解約される

料金を滞納して2~3ヶ月程度が経過すると、電話通信契約を強制解約されてしまいます。

こうなったら、延滞料金を支払っても契約を復活させてもらえません。

そのままでは別の携帯会社でも契約できない可能性が高いので、早めに延滞金を支払いましょう。

5-5.信用情報に事故情報が登録される

携帯やスマホの端末代を分割払いしている状態で料金を滞納すると、信用情報に事故情報が登録されます。

滞納を開始してから2~3ヶ月で情報登録されるケースが多いでしょう。

いったん信用情報に事故情報が登録されてしまったら、延滞状態を解消しても5年程度はクレジットカードやローンを利用できなくなってしまいます。

端末代の分割払いを利用している方は、特に携帯電話を未払いにしないよう注意してください。

5-6.債権回収業者に債権譲渡される、弁護士に回収委託される

携帯電話料金を滞納して放置していると、通信会社が「〇〇債権回収」などの「債権回収業者」に債権譲渡するケースがよくあります。すると、今度は債権回収業者が新たな債権者となり、電話代の取り立てをしてきます。

最近では、法律事務所へ未払い通信料の債権回収委託をされるケースもみられます。その場合には、突然知らない法律事務所や弁護士から携帯電話の未払い分を支払うよう請求されてしまうので要注意です。

5-7.訴訟を起こされて取り立てを受ける

携帯電話代金を支払わずに放置していると、債権回収業者や委託を受けた法律事務所などから訴訟を起こされる可能性もあります。

判決で支払い命令が出ても無視していると、給料や預貯金などを差し押さえられてしまうリスクもあり、この頃には延滞金も相当高額になっているでしょう。

支払ができないなら債務整理を検討しなければならない状態です。

携帯電話やスマホの料金未払いは放置しない!

携帯電話を払わないと、大きなリスクが発生します。「たかが携帯代」と軽く考えてはなりません。

未払い状態はできるだけ早期に解消しましょう。もしどうしても払えないなら債務整理などの方法で解決できる可能性もあります。

放置せずに早めに弁護士に相談してみてください。

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