
信用情報に傷がついてしまったら、ローンやクレジットカードを一切利用できない不便な状態になってしまいます。
信用情報に登録されるネガティブな情報を「異動情報」や「事故情報」ともいいます。
どのような行動をとった場合に傷がついてしまうのか知っておけば、NG行動を避けられるので不利益を受けずに済むでしょう。
今回は信用情報に傷をつけてしまうNG行動を一覧でご紹介しますので、事故情報の登録を避けたい方はぜひ参考にしてみてください。
1.信用情報に傷がつくとはどういうこと?
「信用情報に傷がつく」というのは信用情報機関が管理する「信用情報」に「異動」や「延滞」「貸倒」「官報公告」「代位弁済」などのネガティブ情報が登録されることです。
こういったネガティブ情報を「事故情報」ともいいます。異動情報も事故情報の1種です。
日本ではJICCとCIC、KSCの3つの信用情報機関が個人の信用情報を管理しています。
そして延滞などの問題行動を起こしたら、その人の信用情報に延滞情報などのネガティブ情報が登録されます。これらのネガティブ情報は3つの信用情報機関で共有されるので、1つの機関で登録されるとすべての機関や加盟事業者に知られてしまいます。
消費者金融やクレジットカード会社、銀行などは融資やカード発行の審査をするときに申込者の個人情報を参照します。そのときにネガティブ情報が登録されていたら、「この人に融資すると(カードを発行すると)危ない」と考えるので、審査に通しません。
このように、信用情報に傷がついてキャッシングやカード、ローンなどを利用できなくなった状態を一般に「ブラックリスト」とよぶケースもあります。
いったん「ブラックリスト」の状態になってしまったら、ネガティブ情報を消してもらえるまでに最低5年程度はかかると考えましょう。その間はローンもカードも利用できなくなって不便な生活になってしまいます。
可能な限りネガティブ情報が登録されないように注意した方がよいでしょう。
2.信用情報に傷がつくNG行動一覧
信用情報に傷をつけてしまうNG行動を一覧で示すと、以下のとおりです。
- クレジットカード払いの長期遅延
- 消費者金融のキャッシング、カードローンの長期延滞
- 銀行ローンの長期延滞、代位弁済
- 車のローンなど各種ローン長期延滞
- クレジットカードの多重申込み
- クレジットカードの強制解約
- 携帯電話やスマホ端末本体料金の支払遅延
- 保証会社や信販会社を通じた家賃支払いの滞納
- 奨学金の返済滞納
- 連帯保証人になって支払ができなかった
- 債務整理
以下でそれぞれについてみていきましょう。
クレジットカード払いの長期延滞
クレジットカードの支払を2~3ヶ月程度滞納すると、信用情報に異動情報が登録されます。
キャッシングだけではなくショッピングの滞納によっても信用情報に傷がつきますし、一括払いでも分割払いでもリボ払いでもやはり異動情報が登録されます。
1回遅延情報が登録されてしまうと、完済しても5年程度は異動情報が残ってしまうのでくれぐれも延滞しないように注意しましょう。
消費者金融のキャッシング・カードローンの長期延滞
消費者金融のキャッシングやカードローンを利用して2~3ヶ月くらい延滞すると、信用情報に延滞情報が登録されます。
この場合にも、完済してもその後5年程度はブラックリスト状態が続く可能性が高くなります。消費者金融は審査も甘く気軽に利用できますが、無計画に借入をしてはなりません。
返済できる範囲で利用しましょう。
銀行ローンの長期延滞、代位弁済
銀行や信用金庫などの金融機関も信用情報機関に加盟しています。
銀行カードローンや住宅ローン、事業用ローンなど各種ローンを延滞すると、通常は保証会社が代位弁済をします。この時点でKSCの信用情報にネガティブ情報が登録されてしまうので注意しなければなりません。
銀行ローンを滞納した場合にも、やはり5年程度は一切キャッシングやローン、クレジットカードを利用できなくなってしまいます。
クレジットカードの多重申込み
一度ブラックリスト状態になった方や「とにかくどこでも良いのでカードを作りたい」という方に多いのですが、短期間にたくさんのカード会社、消費者金融会社へ申込みをしてしまうケースが少なくありません。
しかし同じタイミングでたくさんの会社に申込みをするのはNG行為となるので注意しましょう。消費者金融やクレジットカードの「申込み情報」も信用情報に登録されるからです。
一度にやたらとたくさんの申込みをしていたら、貸金業者は「お金に困っているのでは?」「返す気がないのでは?」と疑うので貸付を受けられない可能性が高くなります。
ブラックリスト明けでクレジットカードを申し込むときには、1社ずつにしましょう。1回申し込んで落ちてしまったら、半年程度は期間を空けるようお勧めします。
車のローンなど各種ローンの長期延滞
車のローン、事業用ローン、教育ローンや学生ローンなど、世の中にはいろいろなローンサービスがあります。こういったローンであっても2~3ヶ月程度滞納したら、信用情報に事故情報が登録される可能性が高くなります。
クレジットカードの強制解約
クレジットカードや消費者金融カードローンなどを長期滞納すると、強制解約されてしまいます。それ以外にもクレジットカードの現金化などの違反行為が発覚して強制解約されるケースがあります。
強制解約されるような方は貸金業者にとって極めて危険ですから、信用情報に事故情報が登録されて審査に通してもらえなくなります。
携帯電話、スマホ端末本体の支払遅延
携帯電話やスマホの端末はどんどん高額になっており、今では10万円以上するものも少なくありません。多くの方は「端末代の分割払い」を利用して購入するでしょう。
実はスマホ端末の分割払いはローン契約の1種です。クレジットカードやキャッシングの分割払いと同じ扱いになるため、支払いを滞納すると信用情報に傷がついてしまいます。
なお携帯電話の「通信料のみの滞納」であれば、事故情報は登録されません。端末代を完済している状態であれば、滞納してもブラックリスト状態にはなりません。
あくまで「端末代の分割払い」をしている最中に延滞すると信用情報に傷がつくので、混乱しないようにしましょう。
保証会社や信販会社を通じた家賃の支払滞納
一般的な賃貸住宅では、家賃を滞納したからといって信用情報に傷はつきません。
ただし家賃保証会社を利用するときは注意が必要です。
信販系の家賃保証会社の場合、家賃の支払いにその信販会社を経由するケースがよくあります。家賃を滞納すると情報が信販会社に伝わり、そこから信用情報機関へ通知されてしまいます。
信販系の家賃保証会社を利用した場合や、クレジットカード、信販会社を通じて家賃を支払っている場合には、2~3ヶ月分家賃を滞納すると信用情報に傷がついてしまいます。
なお信販系でない家賃保証会社を利用する場合や大家・不動産会社へ直接家賃を支払う場合には、家賃を滞納しても事故情報は登録されません。
奨学金の返済滞納
奨学金も借金の1種です。
日本で特に利用者数の多い奨学金運営主体である「日本学生支援機構」は信用情報機関であるKSCに加盟しています。そこで日本学生支援機構の奨学金返済を延滞したら、信用情報に傷がついてしまうと考えましょう。
ただしすべての奨学金運営機関が信用情報機関に加盟しているわけではありません。
小規模な基金などを利用した場合には、滞納しても信用情報に影響がない可能性が高いといえます。
連帯保証人となって支払ができなかった
住宅ローンを利用する場合などには配偶者が連帯保証人になるケースがよくあります。
それ以外でも金融機関からお金を借りる際に友人や知り合いに連帯保証人を頼む機会が少なくありません。
連帯保証人になると、主債務者が支払をしないときに残金の一括払いを求められるのが通常です。その際、連帯保証人も支払ができなかったら連帯保証人自身の信用情報にも傷がついてしまうので注意しましょう。
連帯保証人になると、本人が支払わないときに一括払いを求められるだけではなくローンやクレジットカードまで利用できなくなって大変な不利益を受けるリスクがあります。親しい間柄の人から頼まれたとしても、軽い気持ちで連帯保証人の欄に署名押印すべきではありません。
債務整理
借金を返せなくなったときには「債務整理」が非常に有効な解決方法となります。
債務整理には以下の3種類があり、その方の状況に合った方法を選択すればほとんどどういったケースでも借金トラブルを解決できます。
- 任意整理
債権者と直接話し合い、借金の返済方法や金額などを決め直して和解する手続きです。
- 個人再生
裁判所の許可を得て借金の返済金額を大きく減額してもらい、定められた期間に返済する手続きです。
- 自己破産
裁判所に「免責許可」を出してもらうことにより、借金返済義務を全額免除してもらう手続きです。
ただし任意整理でも個人再生でも自己破産でも、債務整理をすると信用情報に傷がつきます。任意整理の場合には5年程度、個人再生や自己破産の場合には手続き後10年程度も事故情報が消えない可能性があります。
債務整理をすると借金問題は解決できますが、しばらくはローンやクレジットカードなどを利用できなくなる可能性が高いといえます。
債務整理と事故情報の考え方について
債務整理をすると信用情報に事故情報が登録されるため「ブラックリストに載りたくないから、債務整理だけは絶対にしたくない」と考える方が少なくありません。
しかしこの考え方は適切とは思えません。なぜなら債務整理を検討するほどの借金をしてしまっている場合、すでに借入ができなくなっているケースが多いからです。
今の貸金業法では「総量規制制度」が導入されており、年収の3分の1を超える金額の貸付ができないルールになっています。
銀行の住宅ローンに関していうと、他にキャッシングやクレジットカードの残高があるだけでも審査に通してくれないケースが多数です。
また債務整理が必要な状況になっている方は、すでに延滞して督促を受けているケースも少なくありません。結局債務整理をしなくてもローンやクレジットカードの利用はできない状態になっているのです。
それであれば、早期に債務整理をして家計の状況を改善し、5~10年の期間をかけても再度ローンやクレジットカードの利用ができる状態に戻す方がよいでしょう。
「ブラックリストになりたくないから債務整理しない」という考え方は適切といえないケースも多いので、よく考えてみてください。
3.信用情報に傷がつかないケース、よくある誤解
以下のような行動をとっても信用情報には傷がつきません。よくある誤解の例を示すので、参考にしましょう。
- クレジットカードの分割払いを利用した
- 消費者金融のキャッシングを利用した →お金を借りただけでは信用情報に傷はつきません。
- 家賃を滞納した(大家や不動産会社へ直接払いするパターン)
- NHKの支払いを滞納した
- 公共料金の支払いを滞納した
- 生命保険料を滞納した
- 税金や年金保険料、健康保険料を滞納した
→こういった支払遅延によっては信用情報に傷がつきません。ただし支払方法としてクレジットカード払いを選択していた場合、カードの引き落としができなければ事故情報が登録される可能性があります。
4.事故情報を消したい方は弁護士へ相談を
事故情報が登録された場合、誤登録であれば消去できる可能性があります。ただ、本人が申請をしても受け付けてもらいにくいケースが少なくありません。
詳しい知識と豊富な経験を持った専門家に依頼する方がスムーズに情報を消してもらいやすくなるものです。
当事務所では弁護士が信用情報の削除に対応しております。信用情報の状態が気になっている方、事故情報を消したい方はお気軽にご相談ください。