過去に金融事故を起こしていわゆる「ブラックリスト」状態になっていても、銀行口座を開設できるのでしょうか?
銀行口座を開設する際にも「審査」が行われるので、開設を断られる可能性があります。
今回は、信用情報に事故情報が登録されて「ブラックリスト」状態になったときに銀行取引に影響が及ぶのか、預金口座開設の審査基準も合わせて解説します。
できるだけ審査を通過してスムーズに口座開設する方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.ブラックリスト状態でも銀行口座を開設できる
信用情報に事故情報や異動情報が登録されて「ブラックリスト状態」になっている場合、銀行口座開設の審査に落とされるのでしょうか?
結論的に、ブラックリスト状態でも銀行口座の開設は可能です。ただし状況によっては開設を断られる可能性もあります。
以下でその理由をみていきましょう。
まず銀行口座開設の際にも審査が行われます。ただし申込人の「信用情報」は照会されません。口座開設の際に預金名義人の「返済能力」は影響しないからです。
よって過去に借金を長期延滞したり債務整理をしたりしてブラックリスト状態になっていても、銀行口座を開設するだけであれば基本的に問題になりません。
カードローンやクレジット機能つきのキャッシュカードは発行できない
ただしブラックリスト状態になっていると、「カードローン機能」や「クレジットカード機能」つきのキャッシュカードは発行してもらえません。
カードローンやクレジットカードを利用する際には信用情報を参照する審査が行われるからです。
ブラックリスト状態の場合、口座開設自体は可能ですがキャッシュカードはあくまで「入出金や振り込み」のみに対応した通常タイプのものに限定されます。
なお「デビットカード」であればブラックリスト状態でも発行できるので、「デビットカード機能つきのキャッシュカード」であれば発行してもらえる可能性があります。
2.銀行口座開設の審査基準、審査に落とされるパターン
銀行口座開設の際には、金融機関所定の基準によって審査が行われます。
具体的な基準は銀行によって異なりますが、以下のような場合には審査に落とされる可能性があるので、注意しましょう。
2-1.同じ銀行の他支店に口座がある
マネーロンダリング防止などの目的のため、基本的に「同一の金融機関では1つしか口座を開設してはならない」規制が及びます。
1人が多くの口座を持つと、口座売買が行われたり振り込み詐欺に利用されたりする可能性があるためです。
すでに口座をもっている金融機関の別の支店で口座を開設しようとしても、断られる可能性が高いと考えましょう。
2-2.住所から離れた支店で口座を申し込んだ
住所から離れた場所にある支店で口座開設を申し込むと、断られる可能性が高くなります。
わざわざ遠くの場所で口座開設する合理的な理由が見当たらないからです。
脱税や振り込み詐欺などの犯罪、マネーロンダリングなどの目的で口座開設しようとしている可能性があるとも考えられるでしょう。
地方銀行では、その地銀のある都道府県住民しか口座開設を受け付けないケースも珍しくありません。
2-3.過去に口座を不正利用した
過去に銀行口座を不正利用した方は、各銀行で口座開設を断られる可能性が高くなります。
銀行は、不正利用した人を「凍結口座名義人」としてリスト化しており、各金融機関で情報共有しているためです。
過去に口座を転売した経験のある方などは、凍結口座名義人として口座開設を拒否される可能性が高くなるでしょう。
また法人口座の場合、取引先の企業に不正利用があると、自社に非がなくても取引を拒絶されるケースがあるので注意が必要です。
2-4.過去にその銀行でカードローンを延滞した、債務整理した
過去にその銀行でカードローンを利用して2~3ヶ月以上の長期延滞をしたり債務整理したりした場合には、銀行口座の開設を断られる可能性が高くなります。
銀行では信用情報とは別途、独自の「ブラックリスト」顧客情報を集約しているケースが多いためです。
銀行内部に「過去に貸し倒れとなって迷惑をかけられた顧客」のデータベースを集めており、カードローンや口座開設の申し込みがあったときにチェックしているのです。こういった銀行独自のデータベースを「自社ブラック」ともいいます。
金融機関の「自社ブラック」に名前が載っていると、信用情報に事故情報が登録されていなくてもカードローンの審査に通りません。銀行によっては口座開設も受け付けてもらえない可能性があります。
銀行口座を開設する際には、過去に迷惑をかけた金融機関は避け、初めて利用する銀行に申し込むのが無難でしょう。
3.信用情報に事故情報が載っているときの銀行預金口座開設方法
以上、信用情報に事故情報が登録されてブラックリスト状態になっているなら、以下のような方法で銀行預金講座を開設するのがおすすめです。
- 過去に迷惑をかけていない金融機関を選ぶ
- 初めて取引する金融機関を選ぶ
- 自分の住所地の支店に申し込む
- クレジット機能やカードローン機能のついていないキャッシュカードを申請する
上記のように対応すれば、ブラックリスト状態でも銀行口座を開設できる可能性が高くなります。
なおネット銀行の場合には「住所地の近くの支店」を意識する必要はありません。
またブラックリスト状態の場合にはクレジットカードを使えないので、デビットカードを1枚持っておくと便利です。キャッシュカードにデビットカード機能を付帯させておくとよいでしょう。
4.事故情報は消去できる可能性がある
信用情報に事故情報が登録されている状態でも、状況によっては抹消できるケースがあります。過去の金融事故から長時間が経過している方、過払い金請求をされた方、契約時期が古い方などは特に事故情報を訂正できる可能性が高くなります。
当事務所では弁護士が信用情報の訂正請求を代行しておりますので、ブラックリスト状態から脱却したい方は一度、ご相談ください。