
デビットカードは、全国のコンビニや量販店、ネット通販などで利用できる便利なカードです。
基本的にデビットカードと信用情報にはつながりがありません。
ただしデビットカードを利用していても例外的に信用情報に影響するケースがあるので、両者の関係を正しく理解しておきましょう。
今回は「デビットカードとは何か」「信用情報との関係」についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.デビットカードとは
デビットカードは利用したときに同時に銀行口座から利用金額が引き落とされるカードです。
クレジットカードが1ヶ月後などの「後払い」であるのに対し、デビットカードは「即時払い」と考えるとわかりやすいでしょう。
デビットカードでもクレジットカードと同様にVISAやmasterなどいろいろなブランドを選べます。
1-1.デビットカードを使える場所
デビットカードは、どういった場所で使えるのでしょうか?
クレジットカードと完全に同じではありませんが、いろいろなお店や決済に使えます。
コンビニ、ネット通販、家電量販店やホームセンター、ネット定額課金サービスなど、最近では普及が進んで使える場所がどんどん増えてきているので、一枚持っていると便利でしょう。
1-2.デビットカードの取得方法
デビットカードは「銀行」が発行しているケースが多数です。クレジットカードと違い、カード会社や信販会社ではありません。
今は多くの銀行がデビットカード機能付きのキャッシュカードを発行していますし、デビットカード単体の発行も受けられます。
デビットカードを使いたい場合には、普段取引している銀行に行って発行を申請するとよいでしょう。ネット上やアプリで申請を受け付けている銀行もあり、そういった金融機関ならわざわざ店舗に足を運ぶ必要もありません。
1-3.デビットカードではキャッシングができない
クレジットカードとデビットカードには、「後払い」か「即時払い」かという点以外にも違いがあります。
それはデビットカードには「キャッシング機能」がついていないこと。
クレジットカードには通常キャッシング枠があり、数十万円程度は借りられるようになっています。
ところがデビットカードにはキャッシング機能がないので、お金は借りられません。
基本的に「お買い物をするときの支払」のみに利用できると考えましょう。
またクレジットカードと異なり、リボ払いや分割払いも選択できません。
2.デビットカードと信用情報機関の関係
デビットカードはクレジットカードととてもよく似ていますが、信用情報については扱いがまったく異なります。
2-1.信用情報とは
信用情報とは、個人のクレジットカードやローン、分割払いなどの利用に関する情報です。
クレジットカードの発行を申請したり発行を受けたり返済したりすると、信用情報に登録されます。
デビットカードは信用情報とは無関係に運営されているので、デビットカードの発行を申請したり使ったりしても信用情報に登録されません。
2-2.デビットカード発行の審査で信用情報を参照されない
デビットカードを発行してもらう際の審査でも信用情報を参照されません。
クレジットカードの場合、発行を申請するとカード会社が信用情報を参照します。過去にクレジットカードの支払などを滞納していると事故情報が登録されているので、参照された時点で審査に落とされてしまうでしょう。
デビットカードの場合、信用情報の審査はないので、過去に長期延滞したり債務整理したりした方でも発行してもらえる可能性があります。
2-3.デビットカードで信用情報を照会されない理由
クレジットカードなら信用情報の審査があるのになぜデビットカードでは信用情報を照会されないのでしょうか?
それはデビットカードが「即時払い」だからです。
即時に決済されるので、本人に信用がなくても金融機関に貸倒の危険が発生しません。
クレジットカードのように後払いの場合、カード会社がお金を立て替えても本人が支払わないリスクがあります。
一方でデビットカードの場合、即時払いなので本人に支払能力がなければ利用できないだけです。金融会社が立替金を返してもらえなくなるリスクはありません。
このようにデビットカードの場合、本人の信用が問題にならないので、信用情報の照会が行われないのです。
以上のようにデビットカードと信用情報は無関係の制度なので、デビットカードを利用したり返済したりしたときにも、信用情報に何らかの情報が登録されることもありません。
3.デビットカードのメリット
3-1.使いすぎを防げる
クレジットカードは後払いで、リボ払いなどの便利な支払方法もあります。その分、ついつい使いすぎて後から首を絞めてしまう方がたくさんいるのが大きなデメリットとなるでしょう。
デビットカードの場合、銀行預金口座の残金が不足していると決済されません。
支払能力を超えて使いすぎる危険を防げることはメリットといえるでしょう。
3-2.本人確認に使える
クレジットカードはネットサイトの登録などの最に「本人確認資料」として利用できるケースがよくあります。
デビットカードも同様に本人確認資料に使えるので、クレジットカードを持っていない方の場合やクレジットカードを持ちたくない方にとっては便利です。
3-3.借金の総量規制に該当する人も利用可能
日本の今の法制度では「借金の総量規制」が適用されます。
借金の総量規制とは、年収の3分の1を超える貸付をしてはならないといったルール。貸金業法改正の際、多重債務者の増加を抑えるために導入されました。
すでに年収の3分の1の借入のある方は、新たにカード発行を受けたり借入をしたりするのが難しくなります。
デビットカードであれば信用情報と無関係に発行してもらえるので、すでに高額な借入をしている方でも利用できるメリットがあります。
3-4.事故情報が登録されていても利用できる
借金やカードの返済を長期延滞すると、信用情報に事故情報が登録されます。そうなったらどこのクレジットカード会社に申し込んでもカードを発行してもらえません。今使えているカードも与信審査やカード更新の際などに止められてしまうのが一般的。いわゆる「ブラックリスト状態」です。
しかし現代の日本においてクレジットカードをまったく使えないのは非常に不便といえるでしょう。
信用情報と無関係なデビットカードであれば、事故情報が登録されているブラックリスト状態でも発行してもらえます。
過去に延滞や債務整理をした方には、特にデビットカードの発行や利用をお勧めします。
4.デビットカードにも審査がある!
デビットカードは信用情報に延滞情報や債務整理情報が登録されていても発行してもらえます。ただし100%確実ではありません。実はデビットカードにも「審査」があり、実際にデビットカードの発行を申し込んでも審査に落とされてしまう方がおられます。
デビットカードの審査はどのようなものなのでしょうか?
4-1.金融機関独自の基準がある
デビットカードを発行しているのは、銀行などの金融機関です。
各金融機関はカードの発行を受けると、独自の基準によって審査します。
たとえば以下のような事情が評価されるケースが多いでしょう。
- その金融機関との取引の長さ
- 預入金額
- これまでの取引経過
- 職業や年収、家族構成
- デビットカードや口座開設の目的(生活費決済や事業用、貯蓄用)
- 過去にその銀行でローン返済の延滞など事故を起こしていないか
4-2.審査に落とされたら別の銀行に申し込もう
デビットカード発行の審査基準は金融機関によって大きく異なり、共通化されているものでもありません。ある銀行では審査落ちしても他の銀行では発行してもらえるケースがよくあります。
もしも1つの銀行でカード発行を拒否されても、気を落とさずに別の銀行でデビットカードの発行を申し込んでみましょう。
給与入金口座や光熱費の引き落とし口座など日頃から取引をしている銀行であれば、カードを発行してもらえる可能性がより高くなると考えられます。
5.デビットカードの遅延で信用情報に登録されるケースとは?
デビットカードと信用情報には基本的に関係がないので、デビットカードを利用しても信用情報には登録されません。
しかし以下のような場合、信用情報に影響を及ぼしてしまうので、注意しましょう。
5-1.残高不足で銀行が立て替え払いした
デビットカードを利用するとき、基本的には残高不足であれば決済されません。
ただ、ときには店舗からの報告のタイミングが遅れたなどの事情により、残高不足にもかかわらず決済が成立してしまうケースがあります。
その場合、いったん銀行が立て替え払いをしなければなりません。
銀行が立て替え払いをすると、本人に入金依頼の通知を送ります。すぐに本人が立て替えてもらった分を補ってマイナス分を解消すれば問題ないのですが、解消が遅れたり解消しなかったりすると、信用情報へ事故情報を登録されてしまいます。
ブラックリスト状態になりたくなければ、デビットカードを利用するとき必ず預金口座に充分なお金を入れておきましょう。万一残高不足で立て替え払いが発生したら、すぐに不足分を入金してください。
5-2.デビットカードの入金を遅延するリスク
残高不足で金融機関が立て替え払いした場合、どんなリスクが発生するのでしょうか?
デビットカードの利用停止
残高不足で金融機関が立て替え払いすると、すぐにデビットカードの利用を停止されます。その後はマイナス分を補わない限り、カードの利用ができなくなると考えましょう。
入金依頼通知が届いたらすぐに支払ってください。
事故情報の登録
金融機関からの入金依頼があっても一定期間内に入金しなければ、信用情報に事故情報が登録されます。そうなったら、ローンやクレジットカードを一切利用できない状態になってしまいます。
入金すればデビットカードの機能は回復しますが、1度登録された事故情報を消してもらうのは不可能で、数年間はブラックリスト状態に。そのような事態を防ぐため、立替払いが発生したら早めに支払いましょう。
デビットカードの強制解約
残高不足による立て替え払いや入金遅延を何度も繰り返していると、デビットカードを強制解約される可能性もあります。
そうなったら立て替え分を入金してもカード利用を再開できません。
なおキャッシュカード一体型のデビットカードの場合、デビットカードが解約されると通常のキャッシュカードが送られてきます。
6.デビットカードの利用規定と信用情報について
クレジットカードやデビットカードなどのカードには、それぞれ「利用規定」があります。
利用規定は、カード利用に関する基本的なルールを定めるもの。カードの申請時や発行時に書類を渡してもらえたり、PDFなどのデータで参照したりします。
実はカード利用規定には「信用情報についての取扱」についても定められています。
デビットカードの場合、かつては信用情報機関に関する定めがありませんでした。その頃は、残高不足でデビットカードの立替や支払い遅延が発生しても、信用情報に登録されなかったのです。
ところが残高不足が起こってもきちんと入金しない人が多数発生したため、各行においてデビットカードであっても入金が遅れると信用情報を登録する運用に変えました。
現在の利用規定では、どこの銀行でもそのように明記されています。
デビットカードを利用する場合であっても、遅延するとブラックリスト状態になる可能性が高いと意識すべきといえるでしょう。
7.信用情報に不安や疑問があればご相談ください
デビットカードは信用情報とは関係なく運用されているので、利用しても情報登録されません。ブラックリスト状態の方でも発行してもらえますし、利用も可能です。
ただし残高不足が起こって金融機関が立て替え払いすると、例外的に事故情報が登録されてしまうケースもあります。くれぐれも残高不足や入金遅延しないように注意しましょう。
また債務整理をしてもデビットカードなら利用できるので、債務整理後にブラックリスト状態になって不便を感じるなら一枚発行するようお勧めします。
当事務所では信用情報の開示や訂正、債務整理に積極的に取り組んでいます。特に信用情報については数ある専門家の中でも詳しいものと自負しています(弁護士や司法書士でも信用情報の訂正は取り扱っていない方が多数です)。
自分の信用情報の内容を知りたい方、開示を受けたけれども不明点や納得できない点があって修正したい方、借金を返せない方など、1度お気軽にご相談ください。