「ブラック」でも審査に通る金融業者は危険!利用してはならない理由と対処方法

借金返済を延滞したり過去に債務整理をしたりして「信用情報」に「事故情報」が登録されると、キャッシングやカードローンなどの審査に通らなくなってしまいます。

お金が必要なのに借りられない状態になったとき、目につくのが「ブラックでもOK」の金融業者ではないでしょうか?

「無担保無保証」「即日融資」「債務整理経験者でも貸し付けます」などといわれると、うちつい手を出してしまいたくなるもの。

しかしこういった業者は極めて危険な可能性が高いので、決して利用してはなりません。

今回は「ブラックでも審査に通る金融業者が危険な理由や手を出してしまったときの対処方法をご説明します。

信用情報に事故情報が登録されて「ブラックリスト」状態となり、資金的に逼迫している方はぜひ、参考にしてみてください。

1.ブラックでもOKな業者は「貸金業法違反」の可能性が高い!

お金に困ったとき、インターネットなどで「融資を受けられないだろうか?」と思って検索すると「ブラックでも利用できる金融業者!」などの記事が目に飛び込んでくるでしょう。

「審査なし」「即日融資」などとも書かれているので「きっと貸付を受けられるだろう」と考えて申し込んでしまう方が少なくありません。

しかしこういった記事で紹介されている金融業者はまったく安全ではありません。

記事を書いている人は単なる「アフィリエイター」であり、広告によって利益を得ようとしているだけです。記事内容にまったく責任を負いませんし、自分で金融業者を利用したことのない人ばかりですから、信頼してはなりません。

「ブラックでもOKな業者」の記事で紹介されている金融業者は違法業者である可能性も高いので、絶対に利用しないでください。

以下で「ブラックでも審査に通る」業者がなぜ違法なのか、説明します。

2.「ブラックでもOK」は貸金業法の広告規制違反

日本の金融業者には「貸金業法」という法律が適用されます。

貸金業法は、貸金業者に登録や適正な運営を行う義務を課し、消費者が無茶な貸付をされて多重債務状態になったり予想外の不利益を受けたりするのを防止するための法律です。

アコムやプロミス、アイフルなどの大手消費者金融も小さな街金もカード会社も、すべて「貸金業法」に従わねばなりません。違反すると貸金業登録を取り消される可能性がありますし、罰則を適用されるケースもあります。

2-1.貸金業法の広告規制とは

貸金業法では、各貸金業者に対し「広告規制」をしています。不当な広告によって消費者が誤認したり多重債務者となったりするのを防ぐ目的です。

貸金業法16条

貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告又は勧誘をするときは、貸付けの利率その他の貸付けの条件について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明をしてはならない。

その中でも「借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示又は説明」が禁止されています(16条2項3号)。

この規定は過度に「簡単に借り入れができる」と思わせることによって、融資を希望する人へ貸付を勧誘する広告を禁止するものです。

2-2.日本貸金業協会には広告審査基準がある

日本のほとんどの金融会社は「日本貸金業協会」に加盟しています。

日本貸金業協会は貸金業法の規制を適切に守るため、加盟金融会社の広告出稿に対して審査を行い、不適切な広告が行われないために対策しています。

日本貸金業協会の「広告審査基準(案)」によると、以下のような表現が規制対象となると例示されています。

面倒な手続一切不要

出ます出ます、どーんと貸付け

ジャンジャン融資

完全融資

無制限貸出し

必ず貸します

100%ご満足

お断りすることはありません

その場で○○万円

どなたでも貸します

無条件、無審査で○○万円

借入れができない方・借入れが困難な方

審査基準が大幅にダウン

職業、件数、残額など一切問いません

当社がだめならあきらめて下さい

スピード融資

即日融資、即時振り込み

簡単・ラクラク・誰にも会わず

どんな状況でも

ブラック可

無理と思わず相談下さい

破産歴のある方でも大丈夫

他店で債務整理した方も大歓迎

リセットOK

https://www.j-fsa.or.jp/doc/association/regulation/exam_std_171012.pdf

「ブラックでもOK」「即日融資」などの広告は、上記の審査基準に違反します。もしも金融業者がこのような広告を出そうとすると、日本貸金業協会から止められるでしょう。

それにもかかわらず「ブラックでもOK」や「即日融資」「審査なし」などの広告を出しているなら、その業者は日本貸金業協会に入っていない可能性があります。あるいは入っていても、協会による指導を無視しているといえるでしょう。

そのようなモラルのない業者がまともな営業をしているとは考えにくく、悪質な金融業者である可能性も十分にあります。

3.ブラックでも審査に通る業者はヤミ金?

ブラックにも審査に通る金融業者は、いわゆる「闇金(ヤミ金)」である可能性もあります。

ヤミ金とは、貸金業登録をせずに違法に営業している金融業者です。

日本で貸金業を行うには、必ず貸金業登録をしなければなりません。無登録営業は重大な犯罪であり、10年以下の懲役または3000万円以下の罰金、あるいはその併科という思い刑罰が下されます。

また貸金業登録をしている正規の金融業者であれば、ほとんどどこの会社でも貸付に際して信用情報の審査をします。しかしヤミ金は信用情報機関に加盟できないので、貸付の際の審査はしません。

そこで「ブラックでも審査に通る」「審査をしません」「即日融資」などの広告をしている業者は、日本貸金業協会にも加盟していないヤミ金である可能性も高いといえるのです。

4.闇金を利用するリスク

もしも「ブラックでも審査に通ります」という広告を鵜呑みにしてヤミ金から借り入れをしてしまったら、どのようなリスクが発生するのでしょうか?

4-1.高利息で返せない

貸金業法と利息制限法は、貸金業者が貸付を行うときの利率を制限しています。

  • 10万円未満なら年利20%
  • 10~100万円未満なら年利18%
  • 100万円以上なら年利15%

上記が限度となっています。

しかしヤミ金はそもそも違法業者ですから、法律による上限利率を守りません。年利365%やそれ以上の利息を貸してくる業者も珍しくありません。数万円借りても数十万円やそれ以上の返済を要求され、払えなくてどうしようもなくなる債務者の方が多数おられます。

ヤミ金を利用したら、近い将来返せなくなって今より苦しい状況になるリスクが大きく高まると考えてください。

4-2.違法な取り立て、嫌がらせ

ヤミ金の借金を返せないと、違法な方法による厳しい取り立てや嫌がらせをされるケースがほとんどです。

たとえば以下のような嫌がらせが行われるケースが多々あります。

  • 深夜早朝にしつこく電話してくる
  • 本人や家族の勤務先、子供の学校などに嫌がらせの電話をされる
  • 近所の人に目につくように「金返せ」「泥棒」などと書いたチラシを配ったりのぼりを立てたりする
  • 自宅や勤務先に訪ねてくる、居座る
  • 本人や家族を脅迫する
  • ピザや寿司などの宅配を注文する
  • 救急車や消防車を呼ばれる
  • SNSの友人に連絡される、借金の代理返済を要求される

こうした取り立て、嫌がらせが日常的に続くので、本人も家族も精神的に疲弊してしまうケースが少なくありません。

4-3.退職に追い込まれる

ヤミ金から嫌がらせを受けると、会社に連絡されて居場所がなくなってしまう方もおられます。

闇金業者が会社に電話をかけて「おたくの○○さんにお金のことで迷惑をかけられています」などと言うので、会社から注意を受けたり好奇の目で見られたりします。

ときには自主退職せざるを得なくなり、職を失う方も多いので注意しなければなりません。

4-4.家族離散になるケースも

ヤミ金を利用すると、配偶者や子どもを脅迫されるケースもあります。そうなったら配偶者が怯えたり愛想を尽かしたりして、離婚につながってしまう可能性が高まります。

実際にヤミ金を利用したことがきっかけで、仕事も家族もすべて失ってしまう方が少なくありません。

どんなにお金に困っても闇金は絶対に利用しないでください。

5.貸金業登録をしていても「審査なし」の業者は危険?

ネットなどで「審査なし」「ブラックOK」と書かれている金融業者でも、貸金業登録しているケースがあります。

貸金業登録しているなら闇金ではないので、利用してもかまわないのでしょうか?

結論的にはたとえ貸金業登録していても、ブラックOKの業者は利用すべきではありません

理由を以下で示します。

5-1.モラルがない可能性がある

前述のように、日本では貸金業法が適用されるので、誇大広告が禁止されていますし、日本貸金業協会でも審査基準を用意して各社の広告を規制しています。

それにもかかわらず「ブラックでもOK」などと宣伝している金融業者は、かなりモラルの低い業者と考えられるでしょう。

たとえ貸金業登録していても、コンプライアンス意識が低く「多少のグレー行為であれば行ってもかまわない」と考えている可能性があります。

そのような業者を利用すると債務者にとって極めて不利な条件を適用される可能性が高いので、手を出すべきではありません。

5-2.条件が悪い可能性が高い

ブラックでも貸付を行う業者の主な顧客は、過去に支払いを遅延した方や債務整理して間がない方など、条件の悪いユーザーです。

こういった顧客は「支払い遅延のリスクが高い」ので、多くの金融業者は貸付をしません。あえてこのようなリスクの高いユーザーに貸付を行って採算をとるには、かなりユーザーにとって不利な条件を押し付ける必要があると考えられます。

たとえば適用金利は一般のカードローンやキャッシングより高くなるケースが多いでしょうし、返済期間も短く設定される可能性があります。

高金利を適用されると返済が苦しくなり、いずれは自分の首を絞めてしまうでしょう。

5-3.取り立てが厳しい可能性が高い

信用情報に事故情報が登録されているリスクの高い人に貸付をすると、優良顧客よりも支払い遅延を起こす可能性が高くなります。

そういった人から確実に取り立てを行うためには、多少とも荒っぽい取り立て方法を実践する必要があると考えるのが自然です。

「ブラックでもOK」の業者を利用すると、支払いを遅延した途端に威圧的な口調で電話がかかってきて支払いを迫られたり、無視していると勤務先にも電話をかけられたりして厳しい取り立てを受ける可能性があります。場合によっては家まで訪ねてくるかもしれません。

以上のように高いリスクがあるので、たとえ貸金業登録をしていても、「ブラックOK」「即日融資」などとうたっている貸金業者は利用しないでください。

6.ブラックでもOKな貸金業者を利用してしまった場合の対処方法

もしも甘い広告表現に誘われて「ブラックでも審査に通る」金融業者を利用してしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。

6-1.債務整理で解決できる

相手が貸金業登録をしている正規の貸金業者であれば、「債務整理」によって解決できます。

債務整理とは、借金トラブルを解決するための法的手続きの総称です。

たとえば「任意整理」をすれば、借金の利息をカットして元本限りの返済に抑えられます。

「個人再生」なら元本部分まで借金支払額を大幅に減額できますし、「自己破産」をすれば借金を基本的に全額免除してもらえます。

過去に債務整理した方であっても、再度の債務整理ができるので躊躇する必要はありません。

また貸金業法の広告規制に従わない悪質な業者でも、貸金業登録している業者であれば債務整理の対象になります。厳しい取り立てにあって困ったときには、お早めに弁護士までご相談ください。

当事務所へのご相談はこちらより承っております。

6-2.闇金の借金は返さなくて良い

もしも借りた相手が闇金の場合、借金を返済する必要はありません。

違法な闇金からの借金は法律上「不法原因給付」といい、返さなくてもよいことになっているからです。利息はもちろんのこと、元本も返さずに済む可能性があります。

脅迫や嫌がらせに遭っているなら、払うのではなく一刻も早く警察や弁護士に相談しましょう。

7.ブラックになってお金が足りず生活できない場合の対処方法

もしも信用情報に事故情報が登録されていわゆる「ブラック」の状態になり、お金が足りなくて困っているなら以下のように対応してみてください。

7-1.行政からの支援を受ける

生活に困っている原因にもよりますが、行政による各種の支援制度を受けられるケースがあります。

たとえば事業者であれば「助成金」を申請できる可能性がありますし、ひとり親家庭なら「児童扶養手当」などの給付を受けられる場合があります。労災に遭ったら労災保険から保険給付を受けられるでしょう。

緊急でお金が足りないなら「生活福祉資金貸付制度」を利用して無利子でお金を借りられる場合もあります。

特に新型コロナウイルス感染症の影響で生活費が足りなくなった場合、従前より貸付要件がゆるくなっているので、困ったときにはぜひ利用を検討してみてください。

7-2.各種減免制度を利用する

所得が低い場合、災害に遭った場合など一定の事情に該当する場合、健康保険料や年金保険料などの減免を受けられる可能性があります。

奨学金を返せない場合にも、減額返還制度などを適用できる可能性があるので、状況に応じて申請してみましょう。

7-3.生活保護を受ける

どうしても自力で生活できない場合には、「生活保護」を受けましょう。

生活保護受給者は健康保険料も年金保険料も税金も医療費も払う必要がありません。

ずっと生活保護を受け続けるのに抵抗のある方は、はたらける状態になるまで保護を受けて、その間に自立を目指しましょう。

闇金やキャッシングに頼るよりずっと良い解決方法となります。

ブラック状態になってお金を借りられなくても、「審査なし」の金融業者を利用してはなりません。金融関係のトラブルに巻き込まれて困ったときには、お早めに弁護士までご相談ください。

信用情報削除のご相談はコチラより承っております。